はじめに
HDDの故障は突然訪れることが多く、大切なデータを失うリスクがあります。しかし、HDDの状態を把握するためのツールや技術を使えば、予兆を捉え、早めに対策を講じることができます。本記事では、HDDの故障兆候を診断するための「SMART(Self-Monitoring, Analysis, and Reporting Technology)」データを使った方法について解説します。特に注目するべき3つの重要な指標、「代替処理済のセクタ数」「代替処理保留中のセクタ数」「回復不能セクタ数」を詳しく説明します。
SMART情報とは?
SMART情報とは、HDDやSSDに組み込まれている自己診断システムで、デバイスの健康状態をモニタリングし、潜在的な問題を報告します。これにより、ユーザーはディスクの状態を定期的にチェックし、故障の兆候が現れた場合に早めに対応できます。
「代替処理済のセクタ数」とは?
代替処理済のセクタ数は、HDD上の不良セクタを別の健全な領域に置き換えた回数を示します。この値が増加している場合、物理的な障害が発生している可能性が高く、HDDが劣化し始めている兆候です。
正常な値:通常は0
異常な値:1以上の増加が見られた場合は注意が必要
対策:重要なデータは早めにバックアップし、HDDの交換を検討しましょう。
「代替処理保留中のセクタ数」とは?
代替処理保留中のセクタ数は、不良であることが検出されたが、まだ代替処理が行われていないセクタの数を示します。この値が増加している場合は、HDDがこれ以上の書き込みや読み込みができないセクタを検出していることを意味します。
正常な値:通常は0
異常な値:1以上の場合は、すぐにバックアップを開始し、HDDを交換する準備を進めましょう。
対策:即座にバックアップを取り、HDDの交換を推奨します。
「回復不能セクタ数」とは?
回復不能セクタ数は、読み込みや書き込みの処理が完全に失敗し、データが取り出せなくなったセクタの数です。この値が増えると、HDD全体の信頼性が低下しており、データの一部が既に破損している可能性が高いです。
正常な値:0
異常な値:1以上の場合、HDDはほぼ確実に故障に近づいていると言えます。
対策:すぐにバックアップを取り、HDDの使用を中止して交換することを強く推奨します。
実際にSMART情報をCrystalDiskInfoを使って確認する
ビデオ再生ができなくなったTV録画用のHDDでSMART情報を確認をしてみます。
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「代替処理済のセクタ数」「代替処理保留中のセクタ数」「回復不能セクタ数」の値を確認します。 ここでは生の値をみます。(現在値、最悪値はあまり理解していないので読み飛ばします)
生の値は16進数で表示されていますので、
代替処理済のセクタ数・・・0x449 = 1097セクタ
代替処理保留中のセクタ数・・・42 = 66セクタ
回復不能セクタ数・・・3D = 61セクタ
となります。
回復不能や保留中のセクタ数が多いので、そのセクタに保存されたデータを読み込めないため、ビデオ再生ができなくなったり、カクついて再生されてしまうと考えられます。
このHDDでは5秒の1回くらいは再生が止まっていた気がします。
ちなみに新品のHDDも確認してみる

代替処理済のセクタ数・・・0セクタ
代替処理保留中のセクタ数・・・0セクタ
回復不能セクタ数・・・0セクタ
となっている。異常なし。
故障予兆が見られたら
これらの指標が異常値を示した場合、すぐに重要なデータのバックアップを取りましょう。HDDは一度劣化し始めると、修復が難しく、完全な故障に至る前にデータを守ることが重要です。バックアップを取った後は、HDDを交換するか、専門のデータ復旧サービスに相談することを検討しましょう。
まとめ
HDDの寿命は限られており、定期的な診断と早めの対応が重要です。SMART情報を活用して「代替処理済のセクタ数」「代替処理保留中のセクタ数」「回復不能セクタ数」を確認し、HDDの健康状態を把握しましょう。少しでも異常が見られた場合は、早急なバックアップとHDDの交換を推奨します。